大人気のスマホアプリ「ブロスタ」をプレイしていて、ふと「これってどこの国で作られたゲームなんだろう?」と気になったことはありませんか?キャラクターのデザインが個性的だったり、世界中で遊ばれていたりと、日本のゲームとは少し違う雰囲気を感じる方も多いはずです。ここでは、ブロスタを生み出した開発会社や、その背景にあるグローバルな関係性について分かりやすく解説していきます。

開発元の会社はフィンランドのスーパーセル
結論からお伝えすると、ブロスタを開発・運営しているのは「フィンランド」にあるゲーム会社です。
会社の名前はSupercell(スーパーセル)といい、北欧フィンランドの首都ヘルシンキに本社を構えています。2010年の設立以来、少数精鋭のチームで世界的な大ヒットゲームを次々と生み出してきました。
Supercellの代表的なゲーム
- ブロスタ (Brawl Stars)
- クラッシュ・オブ・クラン (Clash of Clans)
- クラッシュ・ロワイヤル (Clash Royale)
- ヘイ・デイ (Hay Day)
ブロスタのあのポップで少し風変わりなキャラクターデザインや、言葉が分からなくても直感的に遊べるゲームシステムは、この北欧生まれのクリエイティブな環境から誕生しました。世界大会がブラジルで開催されるなど、国境を越えて愛されるグローバルなゲームへと成長しています。
巨大IT企業である中国のテンセントの存在
開発元はフィンランドなのですが、ネットで調べると「中国の会社じゃないの?」という情報を見かけることがあるかもしれません。これには、現在の親会社が関係しています。
実は現在、Supercellの筆頭株主は中国に拠点を置く世界最大級のテクノロジー企業「テンセント(Tencent)」が主導する企業連合です。テンセントは、メッセージアプリ「WeChat」などで有名な超巨大IT企業であり、世界中の有力なゲーム会社に投資や買収を行っています。
テンセントはSupercell以外にも、「リーグ・オブ・レジェンズ」のRiot Gamesを完全買収したり、「フォートナイト」のEpic Gamesの株式を保有したりと、世界的なゲーム帝国を築いています。
この「親会社が中国の巨大企業である」という事実が、「ブロスタ=中国のゲーム」というイメージに結びついている大きな理由の一つです。
ソフトバンクからの大規模な買収劇の背景
「えっ、前は日本の会社が関係していなかった?」と記憶している方は、かなりゲーム業界に詳しい方ですね。その記憶は正解です。
実はテンセントが親会社になる前、Supercellの親会社は日本のソフトバンクグループでした。ソフトバンクは2013年にSupercellの株式の過半数を取得し、一時は株式の73.2%を保有する唯一の外部株主だった時期があります。
しかし2016年、ソフトバンクグループは資産見直しの一環として、保有するSupercellの全株式を売却することを決定しました。その莫大な株式を約86億ドル(当時のレートで約8,990億円)という巨額で買い取ったのがテンセントだったのです。この大規模な買収劇を経て、Supercellの資本の拠点は日本から中国へと移ることになりました。
買収後も維持されるスーパーセルの独立性
「親会社が中国のテンセントになったら、ゲームの作り方や方針も中国寄りになってしまうのでは?」と心配される方もいるかもしれません。しかし、そこはご安心ください。
Supercellはテンセントの傘下に入った後も、ゲームの企画・開発・運営における完全な独立性を保っています。
買収時の契約でも「本社はヘルシンキから変わらず、既存の経営陣が引き続き経営を行う」ことが明記されました。テンセント側も、北欧の自由な開発環境こそがヒット作を生み出す源泉だと理解しており、クリエイティブな決定権には一切干渉しないというスタンスをとっています。
つまり、お金を出している(資本)のは中国の企業連合ですが、ゲームを作って動かしている(実働)のは間違いなくフィンランドのチームのままなのです。
北欧フィンランドが誇る開発文化と歴史
なぜ人口約550万人の小国フィンランドから、ブロスタのような世界的大ヒットゲームが生まれるのでしょうか。そこには北欧特有の素晴らしい文化があります。
フィンランドには、古くからコンピューターのプログラムを自分で書き換えて楽しむ「デモシーン」というハッカー文化や、厳しい冬を家で過ごすための「DIY(自分たちで作る)」の精神が根付いています。この「小さなパーツを組み合わせて面白いものを作る」というエンジニアリング思考が、ゲーム開発に非常にマッチしていました。
さらにSupercellは、「Cell(細胞)」という社名が示す通り、数名から十数名の超小規模なチームに開発の全権限を委ねています。驚くべきことに、「失敗をシャンパンで祝う」という有名な文化があり、ボツになったプロジェクトでも限界まで挑戦した勇気を称え合うそうです。このような圧倒的な心理的安全性が、ブロスタの斬新なアイデアを生み出し続けているのです。
ブロスタがどこの国のものか誤解される理由

ここまでは開発元のフィンランドについて解説しましたが、それでも「ブロスタは中国のゲーム」という噂が絶えないのには、親会社がテンセントであること以外にも、もう一つの決定的な理由が存在します。それが、通常のアプリストアには並ばない「中国専用アプリ」の存在です。
独自の進化を遂げた中国版アプリの真実
実はブロスタには、私たちが日本でプレイしている「グローバル版(本家)」とは全く別の、中国国内でのみ配信されている「中国版ブロスタ」が存在します。
中国ではインターネット環境が厳しく制限・検閲されているため、海外のゲームをそのまま配信することができません。そこで、親会社であるテンセントの強力なサポートのもと、中国の法規制に完全に合わせた特別仕様のアプリが作られました。
中国版の特徴
- グローバル版とはサーバーが完全に別物(隔離されている)
- ログインにはWeChatやQQのアカウントが必要
- 日本から普通にダウンロードして遊ぶことはできない
この「中国国内だけで独自に運営されている別世界」があるために、事情を知らないユーザーが中国版のプレイ動画などを見て「ブロスタは中国のゲームだ」と勘違いしてしまうことが多いのです。
中国版ブロスタにおける厳しい検閲と変更
中国版ブロスタは、ただサーバーが違うだけではありません。中国当局の厳しい表現規制(検閲)をクリアするために、ゲーム内のデザインに分かりやすい変更が加えられています。
例えば、中国のゲームでは暴力や死を連想させる「骸骨(スカル)」や「骨」の描写が厳しく制限されています。そのため、私たちがプレイするグローバル版のマップに落ちている「壊せる頭蓋骨」のオブジェクトは、中国版ではすべて無機質な「サボテン」などに置き換えられています。
このように、グラフィックの細部までお国柄に合わせたローカライズが徹底されているのも、中国版ならではの特徴です。
グローバル版にはない中国限定スキンの謎
さらに日本のプレイヤーを驚かせているのが、中国版にしか存在しない超ド派手な「中国限定スキン」の数々です。
テンセントが運営に関わっていることもあり、中国市場を盛り上げるために、グローバル版では見たこともないような豪華でエフェクトの凄いスキンが独自に実装されています。日本のYouTuberさんが裏技を使ってこの中国版にアクセスし、限定スキンを紹介する動画をアップしているのを見たことがある方もいるかもしれません。
こうした「中国版だけ特別扱いされているような豪華仕様」も、ブロスタの国籍に対する誤解を強める要因となっています。
新作スクワッドバスターズへの新たな挑戦
ブロスタの成功に甘んじることなく、フィンランドのSupercellは常に新しい挑戦を続けています。彼らの理念は「何十年にもわたって続くサービスとしてのゲームを考えよ」という壮大なものです。
その理念を体現するように、2024年5月には約5年ぶりとなる完全新作『スクワッド・バスターズ(Squad Busters)』がグローバルリリースされました。このゲームは、ブロスタやクラッシュ・オブ・クランなど、これまでのSupercell作品のキャラクターたちが大集合する夢のようなパーティアクションゲームです。
厳しい社内基準をクリアし、カナダでの限定テスト等を経てようやく世に出たこの新作からも、北欧の妥協を許さない開発魂を感じることができますね。
ブロスタはどこの国のゲームなのか最終結論
長くなりましたが、今回解説してきた情報をまとめます。
ブロスタはどこの国のゲーム?まとめ
- 開発国はフィンランド: 企画・開発・運営は、北欧フィンランドのSupercellが完全な独立性を持って行っている。
- 親会社は中国: 資本面(株主)は、日本のソフトバンクを経て、現在は中国の巨大IT企業テンセントが握っている。
- 誤解の理由: テンセントという親会社の存在と、別サーバーで稼働する特別仕様の「中国版ブロスタ」の存在が誤解を生んでいる。
結論として、「お金を出しているのは中国の企業だけど、ゲームそのものを作り出し、魂を吹き込んでいるのは北欧フィンランドのクリエイターたちである」というのが最も正確な答えになります。
一見複雑な関係に見えますが、資金力が豊富なテンセントと、開発の自由を何より重んじるSupercellの相性は抜群のようです。こうしたグローバルな背景を知った上でブロスタをプレイすると、あの個性的なキャラクターたちがまた違った魅力を持って見えてくるかもしれませんね!
